Developer Stories 開発秘話 vol.2

Developer Stories mシリーズ 開発秘話 vol.2 「音場豊かなカナル型ヘッドホン」を目指して。クリアな原音再生を実現した、「MXH-RF800」開発ストーリー

「音場豊かなカナル型ヘッドホン」を目指して

MXH-RF500構造図

 私達は2013年2月に、音域がフラットで広がりのある豊かな音場を実現するために、ドライバの背面に2つの空間を配置した(二層空間設計)新構造ヘッドホン「MXH-RF500」を開発しました。
このヘッドホンは、長時間使用しても聴き疲れが少なく好評でしたが、お客様からは「高域をもう少し伸ばしてほしい」という要望も有りました。

 その後、ヘッドホンの展示会に数多く参加し、お客さまの生の声を聞かせて頂くと、「カナル型は音場が豊かにならない。」という意見が多く聞かれ、「音場豊かなカナル型ヘッドホン」の要望が強いことを実感じました。

実現に向け、MXH-RF800の技術開発をスタート

MXH-RF800 解決を目指した課題

 しかし、このご要望を解決するためには、非常に高い技術力とアイデアが必要でした。
 (低音域~高音域まで)自然で広がりのある音を実現し、かつクリアで伸びのある高音を再生しなければなりません。カナル型ヘッドホンは、耳の穴に装着して使用するために、外耳道が密閉された空間となり、高音域の約6kHz付近に共振が発生します。この共振が、きつい、俗に言う刺さる音(刺激的で不自然な音)を発生させます。この耳障りな音を無くすことが非常に難しい技術となります。
 この難しい課題にチャレンジすることを決意し、MXH-RF800の技術開発に着手しました。

二層空間設計による「広がりのある音場」と
アルミと樹脂のハイブリッドボディによる
クリアな「原音再生」の実現!

緻密なボディ設計 共振を押さえるハイブリッド素材 音域特性図

 この課題を解決するためには、二層空間設計を採用し、ドライバの振動を効率よくかつ緻密にコントロールすることが最善であると判断しました。一方で、MXH-RF500の空間構造では、高域のピーク位置が若干低域側に移動し、かつピークを抑え過ぎているため高音が聞こえにくいという問題が有りました。この問題も合わせて解決するために、二層空間を新たに設計しました。具体的には、ドライバ背面の空間配置・容積と音響抵抗を最適化することで、フラットな帯域を広げ、かつピークを抑制し「刺さり」のない、伸びのある高音を実現しています。その結果、高域ピークによるマスキング効果を低減しシンバルの余韻等が楽しめるようになりました。

 また、人間の耳は、聞く音の帯域によって聴こえる大きさが異なりますので、フラットな音量で再生しても低音域は小さく聴こえてしまいます。(等ラウドネス曲線)この問題を解決するために、等ラウドネス曲線を考慮した低音特性のコントロールを行うことにしました。具体的には、ドライバ前面の空間密閉度を調整し、40~400Hz付近の感度を若干高めに設定しました。この結果、より高揚感にあふれた元気なサウンドが楽しめることになりました。
 しかし、これで完成ではありません。MXH-RF800の音づくりについては、課題を解決し自信の持てる音づくりを行うことが出来ましたが、ヘッドホン本体から不要な共振が発生するとせっかくの音も台無しです。これを解決するために、アルミと樹脂を組み合わせたハイブリッドボディを採用しました。制振性に優れたアルミが不要共振を抑えさらに、ABS樹脂をアルミが挟み込む構造にすることで固有振動を低減、ボディの共振抑制能力をより高めることを狙いました。各部品の選定及び組み込み方法を検討し、不要共振を抑えたクリアな原音再生を実現しました。

新しい音づくりへの挑戦

副主管 河原健介

 文章で書くと、余り苦労無く商品化を行えたように感じられるかも知れませんが、何百回と試作と試聴を繰り返し、漸くこの音に辿り着きました。
 耳の形状は人によって異なり同じものは有りませんので、同じ音楽を聴いても聴こえ方、感じ方はそれぞれ異なります。全ての人に満足してもらえる音作りは現実的には不可能であると分かっていますが、それだからこそこれからも新しい音づくりに挑戦していきます。

開発者プロフィール

河原健介

河原 健介 コンシューマ&ソリューション事業本部
事業企画部企画・マーケティング課 副主管
1999年入社
営業部門で現場一線、
販売推進業務に携わり2012年より現職。
街行く人のヘッドホンを見ては
ブランドチェックする日々を送る。

page_top